後悔しない吹き抜け住宅づくり|メリット・デメリットまとめ【建築士自邸の体験談・費用事例あり】

吹き抜けのある家ってあこがれますよね。
あかるく開放感がある広い空間で過ごす一時は誰にとっても格別です。

一方で失敗談を目にしたり、実現するために不透明な増額項目として悩みのタネとなるのも事実です。

この記事では

  • 実際に住んでいる人目線で吹き抜けのメリット・デメリットが聞きたい
  • 吹き抜けリビングを検討しているが、失敗談も目にするので心配
  • 吹き抜けにするのとしないので、いくら費用が変わるの?

建築士で吹き抜けリビング付きの自邸を建てた筆者が、実際に住んでみてわかったメリットや、後悔につながりそうなデメリットを体験談を交えてご紹介していきます。

結論

先ず下記のようなメリットがあげられます。

・部屋の明るさを確保しやすい
・空間に広がりが生まれ、開放的な気持ちになれる

・吹き抜けを起点とした通風が確保しやすい
・夏に1階は涼しく、冬に2階が暖かくなりやすい
・1,2階で吹き抜けを介したコミュニケーションが取りやすい
・空向かって眺望が確保できる
・採光とプライバシーを両立しやすい

一方で次のようなデメリットも発生する可能性があります。

・吹き抜け工事費用がかかる
・2階の床面積が減る
・耐震性についての追加検討が必要
・家の上下階で音が聞こえやすい
・家の上下階で匂いが伝わりやすい
・夏に2階は暑く、冬に1階が寒くなりやすい
・2階で湿気が溜まりやすい。
・光熱費がかかる
・窓やホコリの清掃に手間がかかる
・カーテン、照明自体の価格が高く、設置交換にも費用がかかる

特に費用面で考えられる増額項目は次の通りです。
[16㎡のリビング吹き抜け、筆者自邸の場合の参考費用]

吹き抜け工事費用(足場など)80万円増額
+オープン階段費用
+オーダーカーテン費用
+高天井用照明費用
+(照明・カーテン高所設置費用)

合計 120万円程度の増額

メリット

good

◆画像

・部屋の明るさを確保しやすい

living

吹き抜け上部に窓を設置することが可能となるので、部屋奥まで太陽の光が届く明るい部屋とすることが可能です。

吹き抜けリビングの奥にあるダイニングなどの家族が集まる場にも、明るさが届くため、暗くなりがちな家の中心部分の雰囲気が明るくなります。

[体験談]
部屋が明るくなる事が最大の採用理由でした。

自邸は南東角の吹き抜けリビングですが、年間を通して窓際のリビング〜ダイニング〜オープンキッチンまで日中照明なしで過ごせます。

空間に広がりが生まれ、開放的な気持ちになれる

視覚的な部屋の広がりが生まれます。
低い天井は安心感を生む効果もありますが、過ごす時間が長いと閉塞感を感じやすいのも事実です。
その分高い天井の部屋は開放感を感じやすい。

こういった天井高さの特徴を活かして、
プライベートな部屋では天井が低く安心感を感じられ、リビングなどの人の集まる部屋では天井が高く開放感が得られる。

居場所の選択肢が生まれる事が最大のメリットと言えます。

[体験談]
家の中に、個室とは違う次元で広くて開放的な場所がある魅力を感じます。

個室で作業していて何か行き詰まった時には、吹き抜けのリビングでリラックスするといった、切り替えが心地よいです。

吹き抜けを起点とした通風が確保しやすい

吹き抜けに面して上下階に窓を設けると、吹き抜け高さによる温度差で重力換気が働きます。

一階だけで完結していた通風を上下階で確保できるので、自然と風通しの良い間取りをつくりやすいです。

[体験談]
筆者の自邸では二階の窓は開けっ放しにしていることが多いです。

一階は防犯の観点から開けっ放しにできる窓は限られますが、吹き抜けを経由して風が流れるので、年間を通して換気がしやすいと感じます。

夏に1階は涼しく、冬に2階が暖かくなりやすい

暖かい空気は冷たい空気より軽いので、吹き抜けの上へ逃げる性質があります。

そのため、一階にはあまり熱気が溜まりにくく夏場も涼しく感じられ、二階には逆に自然と温かい空気が溜まります。

[体験談]
夏場は冷房の空気も一階に留まりやすく、一階は涼しいです。逆に二階は暑く感じます。
 筆者自邸では2階の暑さ対策として、屋根の断熱仕様としてしっかり通気層を確保し、吹き抜けの熱気を逃がす窓の位置に注意して設計しました。

冬場は逆で二階は自然と暖かく、一階は暖房の温風が、二階に逃げやすいので寒さを感じることもあります。
この場合は床暖房なども対策として考えられますが、筆者の家では個別の暖房器具で対応することにしました。

1,2階で吹き抜けを介したコミュニケーションが取りやすい

通常吹き抜けのない戸建てだと、個室群とリビングは階で分断されがちです。
吹き抜けがあると、吹き抜け越しに会話をすることが、可能なので家の中で会話が通りやすくなります。

特に家の中心に吹き抜けを設けた場合に活きてくるメリットです。

[体験談]
わが家も吹き抜けがあるおかげで、家の中でよく声が通ります。

二階のバルコニーで、洗濯物を干している時に一階のリビングに、いる子供の声が聞こえやすいので子育て世代として安心感を感じます。

空に向かって眺望が確保できる

window

通常、住宅地に家を建てる限り、前面に大きな空地がないと一階の窓から見える空はわずかです。
吹き抜けがあると二階に窓を設置することができるため、一階から二階窓を通して空を眺める事が可能です。

空模様や時間の流れを感じることができるので生活にメリハリが生まれます。
特にソファーなどの座る場所から見える位置に窓を設けるのがおすすめ。

[体験談]
筆者の家は密集した低層住宅地でリビングも道路側ですが、二階にある窓より空が広く見えます。

また、隣地が小学校で、大きな楓の樹があるので2階窓からその樹の葉が見えるように計画して借景しています。

2階窓でプライバシーと採光を両立しやすい

二階の窓は人の視線を気にすることなく開ける事ができます。

そのため、一階のカーテンは閉めていても、二階は開けて採光を取り入れるといったいった使い分けが可能になります。

一階の前面に道路があり、人の目線が気になる場合は吹き抜けを取り、二階から採光を取る方法も選択可能です。

[体験談]
筆者の自邸では二階窓はカーテン開けっ放しになっている事が多いです。

夜間でも特に人の目線を気にすることもないので、カーテン開けっ放しになったその窓から朝になると自然に光が入ります。

デメリット

bad

吹き抜け工事費用がかかる

1番気になるデメリットとしては費用の増額が上げられます。

後の項目で別途詳細に説明しますが、吹き抜けの内装工事には別途足場が必要になります。
そのため、家のスペックとは関係なく吹き抜け工事費という名目で増額が発生します。

2階の床面積が減る

吹き抜けを設けた気積分の二階床面積が減ります。
そのため、狭小住宅などではもともと少ない床面積を減らすことは困難です。

また坪庭のような吹き抜けを作っても、前述のメリットは享受しにくいため、
ある程度ゆとりのある家で吹き抜けを検討することをおすすめします。

[体験談]
実際に二階の個室床面積を少しずつ減らして吹き抜けを確保しています。

その分、リビングには階を跨いだ空間の広がりがあるので、開放的なリビングとこじんまりとした個室で気分によって使い分けています。

・耐震性についての追加検討が必要

吹き抜けを設けることでその部分の床が無くなります。

通常床は一階と、二階にかかる水平力を壁に伝達する役割があるため、その床を取り除くことは耐震性に影響がないか追加の検討が必要です。

[体験談]
構造部の友人に相談して火打ち梁なしで構造補強する方法をとりました。

吹き抜け部分の構造についてはどう解決しているのか、住宅メーカーや、設計者に確認しておくことをおすすめします。

家の上下階で音が聞こえやすい

silent

メリットにも書きましたが、上下階で音が通りやすいです。
小さな音から大きな音まで、吹き抜けを回り込んで伝わるため、個々のプライバシーに敏感な方には向きません。

また、生活時間帯の異なる家族と同居する際には注意が必要で、様々な場面を想定しておく必要があります。

[体験談]
筆者自邸は寝室がリビング吹き抜けに面しています。
扉を閉じた状態でも、リビングでの大きな会話やテレビの音は寝室で聞こえます。

家族が寝静まった時間帯は、場所を変えてリビングの反対の部屋で、音の出る行為をする様に気をつけています。

家の上下階で匂いが伝わりやすい

単純に空気の繋がっている部分が大きいので、上下階の匂いは伝わりやすいです。

[体験談]
実感としては気になったことはありません。
そもそも家で発生する匂いで、強烈なのは焼き肉の煙や生ゴミ臭などでしょうか。

仮に発生しても、一般的な換気設備で十分排気されます。

意図的に一階の強制換気を停止、二階の換気を稼働させるなどしなければ、吹き抜けを通して匂いが移動する場面はかなり少ないといえるでしょう。

夏に2階は暑く、冬に1階が寒くなりやすい

上述のメリットの反対で、夏場は熱気が二階に集まり暑く、冬場は逆に一階の暖気が二階に逃げるため寒く感じます。

2階で湿気が溜まりやすい

吹き抜けを通して上部に暖かい空気が溜まります。
暖かい空気は冷たい空気より水分を多く含むことができるので、絶対湿度(空気の水分量)は二階が高くなります。

そのため、断熱性能の低いサッシが二階窓にあると、冷たい窓と高湿の暖かい空気との間に結露が発生するため、注意が必要です。

[体験談]
筆者自邸はノーマルグレードの複層サッシですが特に今まで結露はありません。
換気頻度も関係していると思います。

光熱費がかかる

部屋の気積が大きくなるため、空調効率は下がります。
エアコンの位置や、暖冷房の使い分けで光熱費増を最小に抑えることは可能です。

[体験談]
夏場は日中、一階のリビングにいることが多いので、吹き抜けに設置したエアコンの弱風でも十分に涼しいです。

逆に冬場はリビングが温まりにくいので、エアコンとは別に個別暖房を使ったほうが効率的だということが、昨年冬にわかりました。

窓やホコリの清掃に手間がかかる

cleaning

吹き抜け高所に窓や段差がある場合、そこに付着した汚れや埃の清掃に手間がかかります。

[体験談]
筆者宅には倉庫に4.5mまで、伸縮する脚立が入っています。天井高さ5.1mのカーテンレールや照明まで手が届きます。
ただ、高所作業は単純に怖いのでメンテナンス清掃は、最小限に留めています。

カーテン、照明自体の価格が高く、設置交換にも費用がかかる

一、二階の同じ壁面に設置した窓を一枚のカーテンで覆う場合は、オーダーカーテンとなりますし、
高天井用の照明は通常の照明よりも割高な場合が多いです。

それらを設置する場合も、内装用の吹き抜け工事足場が無いタイミングで取り付けようとすると、別途設置費用がかかるので注意が必要です。

[体験談]
筆者自邸は照明は施主支給で、工務店にて取り付け依頼しています。

カーテンは別途工事なので、工務店の内装足場が残っている期間に、足場を借用してカーテンを取り付けてもらいました。
こうすることで別途足場費用がかからないように工夫しています。

費用

cost

実際、吹き抜けによってどれくらい増額となったについて、筆者の自邸の場合を整理してみました。
※家の仕様や依頼する工務店によってもまちまちなので、あくまでも参考額としてください。

・吹き抜け工事費
木造2階建て、16㎡の吹き抜けで80万円程度(足場設置施工など)増額

・オープン階段費用
一般的な箱状の階段だと、見栄えが悪いのでスチール手すりのささら木階段としています。
ざっくりですが30万円は増額になっていると思います。

オーダーカーテン費用
一、二階に別々にカーテンを設置するのに比べ5m級のオーダーカーテンは5万円ほど増額になりました。

・高天井用照明費用
筆者の場合、高天井用の照明でもシーリングを2つ取り付けるのに比べれば、3万円程度の増額におさまる照明を選びました。

◆増額合計(概算)
118万円

実際には二階床の構造や、仕上げがなくなっている分など、細かい減額要素もありますが、筆者自邸ではざっくり120万円程度の増額と分りました。

階段に拘らなければ100万円以下も可能だったかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

吹き抜け採用にかかる費用や、自分の生活スタイル踏まえたメリット・デメリットの把握ができれば、
吹き抜けの採否に後悔することはなくなります。

費用増やデメリットもありますが、生活スタイルが合えば吹き抜けのある空間での暮らしは格別です。

是非検討してみてください。

【リビングの採光方位の検討シミュレーションはこちらの記事】

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