【マンション採光シミュレーションの北西向きバージョンの記事です。】
戸建てと異なり、間取りの決まっているマンションは建っている向きが日当たりにおいて生命線ですよね。
でも、東西南北の中でも北西などの中間の方角は日当りが想定しづらいのが現実です。
購入してから、思ったより日が当たらなかった…なんて後悔しないように。
本記事では、一級建築士で、自邸の設計経験、マンション居住経験のある筆者が
という悩み・疑問を解決していきます。
標準的な田の字プランのマンションをモデルに、方角別の日当たりについてシミュレーション画像付きで検証していきます。
【結論】北西向きは廊下側の部屋の日当りが最も有利!家全体の明るさが平均的。
各方位と季節・時間ごとの比較より以下のことがわかりました。
- 廊下側の部屋の窓際に日当りが望める
- 総合すると家全体の明るさの差が最も少ない方角
- 朝から昼の日当りが比較的ましだが、全体にバルコニー側の明るさは控えめ
- 夏至の家全体の日当りに優れている。
それでは詳細に見ていきましょう。
▼日当たりの悪い部屋・家の明るさ改善方法まとめはこちらの記事
▼東西南北間取りのマンション採光ランキングについての記事はこちら
検証条件:I型・田の字プラン
■地域︰東京
■天気:晴れ
■敷地条件︰北西向き・開口部向かいに遮蔽物なし、1階
検証間取り:

I型・田の字プランにて、北西の方角にバルコニーが対面する条件とします。
■検証時間帯︰(季節︰春秋分)
朝9時、昼12時、夕16時
■季節ごとの解析条件(時間帯︰12時)
春分(3/20)、秋分(9/23)、夏至(6/21)、冬至(12/22)
季節ごとの日照時間の特徴についての詳しい記事はこちら▼
■解析単位︰lux
lux(ルクス)とは?単位についての詳しい記事はこちら▼
■使用ソフト︰VELUX Daylight Visualizer
(CIE国際照明委員会 から、採光シミュレーションプログラムの精度を検証する試験により CIE171:2006 認定を取得)
北西向きマンション|日当りの特徴
先ず、北西向きマンションの時間帯別・季節別の日当たりについて詳細に見ていきます
時間帯別の日当り

北西向きの住戸の間取りを時間帯別に見てみると、
特筆すべきは部屋B・部屋C側において終日、若干の日当りが望めるということです。
部屋Aについては日当りがすごく良いとまで言えませんが、朝から昼にかけて250lux程度の明るさが確保できます。
リビングにおいては150lux程度でしょうか、昼間の明るさとしては少しもの足りないかもしれません。
一方、夕方になると部屋BとCに日差しが入り、リビング側は150lux程度まで暗くなっていきます。
部屋B、Cで窓際に机があると少し眩しさを感じる可能性があります。
季節別の日当り

北西向きの住戸の日当りを季節別に比較すると、
年間を通して、リビング側の日当りは控えめです。
夏には部屋Aで300lux程度まで明るくなりますが、冬は180lux前後で少し明るさが落ちます。
廊下側の部屋BとCでは年間を通して昼間に若干の明るさが望めます。
昼間もどの部屋においても活動している家庭には合っている間取りともいえますね。
各方角の時間帯別|日当たり比較
ここでは各方角の時間帯別の日当たりを比較していきます。季節は春秋分としています。
朝方の日当り
南東・南西・北東・北西の
日当り比較

朝方の北西向きのマンションは他の方角に比べ、
以外にも南東向きに次いで日当りは良くなる傾向にあります。
また部屋BとCについては北東向きと同じように若干の明るさが窓際に発生する傾向にあるといえます。
西・北西・北の日当り比較

朝方の北西向き住戸の近似方角向きの間取りとを比較して見ると、
北向き・西向きに比べ最も日当りが優れていることがわかりますね。
朝の日当りに不利な北や西向きの方角でありながら、リビング側では250lux前後の日当りが望め、照明がなくても団らんなどの用途には困らないでしょう。
加えて、部屋BとC側でも若干の明るさが入るようです。
昼間の日当り
南東・南西・北東・北西の
日当り比較

北西向きマンションの昼間の日当たりを中間方角の間取りの場合と比較していみると、
リビング側は南東・南西向きに次いで照度がとれることがわかりますね。
特筆すべきは廊下側の部屋BとCにおいて窓際はかなり明るくなります。
今回の検証条件では腰高の窓ですが、開口条件によっては中々侮れない明るい部屋になる可能性もあります。
西・北西・北の日当り比較

北西向きのマンションは昼間、西向き、北西向きと比べると、
各部屋の昼間の日当たりに置いて最も条件が良くなることがみてとれます。
廊下側の部屋で100lux前後まで照度が取れるのは他にはない特徴です。
夕方の日当り
南東・南西・北東・北西の
日当り比較

夕方の北西向きの間取りの日当たりを中間の方角間取りと比較してみると、
リビング側は北東向きと同じ程度に既に薄暗くなりはじめています。
部屋BとCの明るさはこの時間帯も継続して窓際で100lux前後となっていますね。
西・北西・北の日当り比較

夕方の日当たりを近似する西、北向きと比べると、
リビング側は北向きとあまり変わらず薄暗い明るさになります。
しかし、部屋B、Cにおいては西向き、北向きには見られない窓際の明るさがみてとれます。
各方角の季節別|日当たり比較
夏至における日当り
次に夏至における各方位との日当たりを比較してみます。
南東・南西・北東・北西の
日当り比較

夏至においては北西向きの間取りは、
中間方位の中で家全体の日当りが最も有利になっていますね。
リビング側では日当りの差はわずかですが、廊下側の部屋の明るさは他にはない特徴といってよさそうです。
西・北西・北の日当り比較

夏至において、北西向きの間取りは北向や西向きよりも、家全体の明るさが良くなる傾向があるでしょう。
冬至における日当り
つづいて冬至における各方位との日当たりの比較です。
南東・南西・北東・北西の
日当り比較

冬至における北西向き住戸の日当たりは、
リビング側は南東、南西に次ぐ日当りの条件となり、そこまで日当たりが良いとは言えません。
西・北西・北の日当り比較

北向や西向きの近似方位と比較すると、
北西向きはリビング側では日当りに差が少なく、いずれの方角も控えめに言っても薄暗い印象です。
廊下側の部屋で窓際が少し明るくなるのは冬至においても北西向きの特徴としてみられます。
【まとめ】
マンションの開口部の向きが、北と西の中間、ちょうど北西向きという条件下だと、
- 廊下側の部屋の窓際に日当りが望める
- 総合すると家全体の明るさの差が最も少ない方角
- 朝から昼の日当りが比較的ましだが、全体にバルコニー側の明るさは控えめ
- 夏至の家全体の日当りに優れている。
ということがわかりました。
廊下側の部屋の窓際で明るさが確保できるので、家全体の中の明るさの差が最も少ない方角です。
真っ暗な部屋ができるのが嫌な場合や、廊下側の個室での生活時間が長い人には向いている可能性があります。
他の方角との比較も見て、方角による日当たりの些細な違いを理解したあなたには、自分にぴったりの日当たりのマンションが見つかるはずです。
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